カフェを開業するためには、エスプレッソマシンやグラインダーだけでなく、保健所の営業許可を取得するための厨房機器も必ず揃える必要があります。シンク・作業台・食器棚などの基本的な厨房機器を適切に選ばないと、内装工事後に改修が必要になり、開業が遅れるリスクがあります。
本記事では、カフェ開業を検討している方に向けて、厨房機器の種類・保健所の基準・選び方のポイントをわかりやすく解説します。
保健所の営業許可に必要な必須厨房機器
飲食店営業許可を取得するために、以下の厨房機器は必ず設置が必要です。内装工事の前に管轄の保健所に事前相談することを強くおすすめします。
①二槽シンク(必須)
食品衛生法では「食材と食器の洗浄を別々に行えるよう、シンクは2槽以上が必要」とされています。各槽のサイズ基準は幅45cm以上・奥行き36cm以上・深さ18cm以上(東京都基準)が一般的です。
ただし、食器洗浄機を設置する場合は1槽シンク+食器洗浄機の組み合わせでも許可が下りる自治体もあります。正確な基準は管轄の保健所に必ず確認してください。
シンクを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
バックガードの有無
シンクを壁に沿って設置する場合は、後部にバックガードがついているモデルを選びましょう。壁への水はねを防ぎ、バックガードに水栓を取り付けることもできます。
奥行きのサイズ
奥行きは450mm・600mm・750mmが主流です。他の作業台と奥行きを揃えると作業効率が上がります。小規模カフェでは450mmのコンパクトタイプが設置しやすいです。
素材
業務用シンクはステンレス製が基本です。錆びにくく耐久性が高く、清掃もしやすいのでステンレスを選んでください。
参考価格:約3〜30万円
②手洗い器(必須)
厨房内に従業員専用の手洗い器を設置することが義務付けられています。調理用シンクと兼用することはできません。
サイズ基準は幅36cm×奥行き28cm以上(東京都基準)が一般的です。多くの自治体では自動センサー式・足踏み式・セルフストップ式の蛇口が求められます(手動式は基準違反になる場合があります)。手洗い器の近くに手指消毒装置の設置も必要です。
参考価格:約3〜10万円
③扉付き食器棚(必須)
食器・カトラリー・調理道具を収納する棚には扉が必ずついていることが義務付けられています。ほこりや虫の侵入を防ぐためです。高さの規定もあり、膝より高く目線より下でなければなりません。また、天井と吊戸棚の間にスペースがあるとほこりが溜まりやすいとして基準違反になる場合があります。
居抜き物件でも、扉付き食器棚の設置を忘れて保健所の審査が通らないケースが多くあります。必ず確認しておきましょう。
参考価格:約3〜15万円
④換気設備(必須)
厨房内の換気扇・排気設備の設置が必要です。特に加熱調理機器(オーブン・グリル・ガスレンジなど)の上部には排気フード(レンジフード)の設置が義務付けられています。内装工事と合わせて対応することが必要なため、事前に保健所に確認しておきましょう。
⑤給湯設備(必須)
シンクでの洗浄に使えるよう給湯設備が必要です。自治体によっては60℃程度の温水が出ることが基準になっている場合もあります。
作業台の選び方
厨房での作業効率を左右するのが作業台(調理台)です。業務用作業台はほとんどがステンレス製で、耐久性・衛生管理のしやすさに優れています。
高さの選び方
快適に作業できる作業台の高さの目安は「身長÷2 + 5cm」とされています。多くの業務用作業台は80〜85cm程度の高さに設定されています。可能であれば実際に立って確認してから購入しましょう。
広さの選び方
2つの作業が同時にできる広さが理想的です。最低でも幅90cm以上の作業台を確保しましょう。下部が収納棚になっているタイプを選ぶと、限られたスペースを有効活用できます。
参考価格:約3〜20万円
業務用収納棚の選び方
厨房の上部空間を有効活用するための収納棚(吊り棚・スタック棚)も重要です。食材・調理器具・消耗品を整理整頓することで、作業効率と衛生管理が向上します。
ステンレス製のスタック棚は強度・衛生性・清掃のしやすさのバランスが良く、業務用厨房での標準的な選択です。ゴミ箱スペースの確保も設計段階から計画に入れておきましょう。開業後にスペースを無理やり作ることにならないよう注意が必要です。
参考価格:約1〜10万円
食器洗浄機の導入を検討する
席数が多いカフェや、回転率を上げたい店舗には業務用食器洗浄機の導入がおすすめです。スタッフの作業負担を大幅に軽減し、衛生管理も向上します。
前述の通り、食器洗浄機を設置することで二槽シンクの代わりに1槽シンク+食器洗浄機の組み合わせが認められる自治体もあります。厨房スペースが限られる小規模カフェでは、この点を保健所に確認してから設計を進めることをおすすめします。
参考価格:約30〜100万円
費用を抑える方法
中古厨房機器の活用
シンク・作業台・棚などはステンレス製で精密機械ではないため、中古でも問題なく使い続けられるものが多いです。中古厨房機器専門店(テンポスバスターズなど)では豊富な在庫から選べます。
居抜き物件を選ぶ
前店舗の厨房機器が残っている居抜き物件を選ぶことで、設備費を大幅に削減できます。ただし保健所の基準を満たしているか必ず確認しましょう。
補助金・助成金の活用
自治体によっては厨房機器の導入に使える補助金・助成金制度があります。開業前に自治体の中小企業支援窓口に相談してみましょう。
主要な厨房機器メーカー
| メーカー | 特徴 |
|---|---|
| マルゼン(日本) | 業務用厨房機器の国内大手。シンク・作業台・棚まで幅広いラインナップ |
| 東製作所(日本) | リーズナブルな組み立て式シンクが人気。コスパ重視の開業者に人気 |
| フジマック(日本) | 業務用厨房設備の総合メーカー。耐久性で定評あり |
| タニコー(日本) | 厨房機器の老舗メーカー。業務用シンク・作業台のラインナップが充実 |
まとめ:内装工事前に保健所へ事前相談を
カフェ開業の厨房機器選びで最も重要なのは、内装工事着工前に管轄の保健所に事前相談することです。二槽シンク・手洗い器・扉付き食器棚・換気設備・給湯設備が最低限必要ですが、基準は自治体によって異なります。
工事後に基準を満たしていないことが判明すると改修工事が必要になり、開業が遅れるリスクがあります。設計図面が完成した段階で保健所に持ち込み、事前確認を済ませてから着工しましょう。
カフェ開業全体の設備についてはカフェ開業に必要な設備・厨房機器リストもあわせてご覧ください。