カフェを開業するには、設備を揃えるだけでなく必要な資格の取得と許可の申請が欠かせません。「調理師免許がないと開業できない?」「何をどこに申請すればいい?」と疑問を持つ方も多いです。
本記事では、カフェ開業に必要な資格・許可・届出を種類別にわかりやすく解説します。
カフェ開業に必要なものの全体像
| 種類 | 必要なもの | 必須かどうか |
|---|---|---|
| 資格 | 食品衛生責任者 | 必須 |
| 資格 | 防火管理者 | 収容人数30人以上の場合 |
| 許可申請 | 飲食店営業許可(保健所) | 必須 |
| 許可申請 | 菓子製造業許可(保健所) | パン・菓子の製造販売をする場合 |
| 届出 | 防火対象物使用開始届(消防署) | 必須 |
| 届出 | 個人事業の開業届(税務署) | 個人事業主の場合 |
| 届出 | 深夜酒類提供飲食店営業届(警察署) | 深夜0時以降にお酒を提供する場合 |
必須の資格①:食品衛生責任者
カフェを含むすべての飲食店において、店舗ごとに1名以上の食品衛生責任者を置くことが食品衛生法で義務付けられています。食品衛生責任者がいないと飲食店営業許可の申請ができないため、最初に取得すべき資格です。
取得方法
各都道府県の食品衛生協会が実施する「食品衛生責任者養成講習会」を受講します。講習は通常1日(約6時間)で完了し、「食品衛生学」「食品衛生法」「公衆衛生学」の3科目を学びます。講習後にテストがありますが、ほぼ100%の合格率と言われています。
費用・免除規定
受講費用は約1万円程度(地域によって異なります)。調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格を持っている場合は講習が免除され、申請だけで取得できます。
注意点
講習会は人気が高く、1〜2ヶ月先まで満席になることがあります。開業の2〜3ヶ月前には受講申し込みをしておきましょう。なお、食品衛生責任者の資格は全国共通なので、どの都道府県で取得しても全国で使えます。
必須の資格②:防火管理者(規模による)
収容人数(客席数+スタッフ数)が30人以上になるカフェには、防火管理者の設置が義務付けられています。小規模カフェ(10席程度)なら不要な場合がほとんどですが、規模が大きくなる場合は確認が必要です。
甲種・乙種の違い
| 種類 | 対象 | 講習時間 |
|---|---|---|
| 乙種防火管理者 | 延べ面積300㎡未満の店舗 | 1日(約5時間) |
| 甲種防火管理者 | 延べ面積300㎡以上の店舗 | 2日(約10時間) |
日本防火・防災協会または消防署が主催する講習を受講して取得できます。
必須の許可申請:飲食店営業許可(保健所)
カフェを営業するには、管轄の保健所から「飲食店営業許可」を取得することが必須です。無許可での営業は食品衛生法違反となり、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。
申請の流れ
①事前相談(内装工事の着工前)
設計図面を持って管轄の保健所に事前相談することを強くおすすめします。厨房の広さ・換気設備・シンクの数・手洗い設備など、保健所が定める施設基準を着工前に確認しておかないと、工事後に改修が必要になるリスクがあります。
②申請書類の準備
必要書類は以下の通りです(自治体によって異なる場合があります)。
- 営業許可申請書
- 施設の大要・配置図(間取り図)
- 食品衛生責任者資格の証明書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 水質検査成績書(井戸水・貯水槽の水を使用する場合)
③申請書の提出・手数料の納付
工事完了の約2週間前を目安に申請します。手数料は地域によって異なり、東京都では約10,000〜25,000円程度です。
④施設検査
保健所の担当者が店舗に来て施設検査を行います。オーナーまたは代理人の立ち合いが必要です。
⑤営業許可証の交付
検査に合格すると営業許可証が交付されます。申請から交付まで約2〜3週間かかります。
状況によって必要な許可・届出
菓子製造業許可(保健所)
店内で製造したパン・ケーキ・焼き菓子などをテイクアウト販売または卸販売する場合に必要です。飲食店営業許可とは審査基準が異なり、製造施設を密室にするなど追加の設備要件があります。内装工事の前に保健所に確認しましょう。
深夜酒類提供飲食店営業届(警察署)
深夜0時〜午前6時の間にお酒を提供する場合に必要な届出です。開店の10日前までに所轄の警察署へ届け出る必要があります。
コーヒー豆の製造・加工業の届出(保健所)
自家焙煎したコーヒー豆を販売する場合や、仕入れたコーヒー豆を挽いて販売する場合に必要な届出です(2021年6月の食品衛生法改正により追加)。
個人事業の開業届(税務署)
個人事業主としてカフェを開業する場合、開業後1ヶ月以内に最寄りの税務署に提出します。
防火対象物使用開始届(消防署)
店舗が防火基準を満たしているかの確認のため、消防署への届出が必要です。
調理師免許は必要?
よくある誤解ですが、カフェ開業に調理師免許は必須ではありません。調理師免許は「名称独占資格」であり、免許がなくても調理業務は行えます。
ただし調理師免許を持っていると、食品衛生責任者の講習が免除されるメリットがあります。また、店舗の信頼感アピールにもなります。
開業スケジュールの目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 開業3ヶ月前 | 食品衛生責任者の講習を受講・取得 |
| 開業2ヶ月前 | 内装工事着工前に保健所へ事前相談 |
| 開業1ヶ月前 | 内装工事完了・飲食店営業許可申請 |
| 開業2週間前 | 保健所による施設検査 |
| 開業1週間前 | 営業許可証の受け取り |
| 開業後1ヶ月以内 | 個人事業の開業届を税務署に提出 |
まとめ
カフェ開業に必ず必要なのは「食品衛生責任者」の資格取得と「飲食店営業許可」の申請の2つです。どちらも手続きに時間がかかるため、開業3ヶ月前には準備を始めることをおすすめします。
特に食品衛生責任者の講習は満席になりやすいので早めに申し込みを。また、飲食店営業許可は内装工事の前に保健所へ事前相談することで、工事後の手直しリスクを防げます。
設備の準備についてはカフェ開業に必要な設備・厨房機器リストもあわせてご覧ください。